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「音楽の友」2008年4月号 UNA VOCE(インタビュー)

満を持して、「ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会」をスタート

ヴァイオリニストの土田越子が「ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会」をスタートする。
土田は桐朋学園大学音楽部卒、同大学研究科修了の後、タングルウッド音楽祭に参加。その後、ロンドンの英国王立音楽大学大学院に留学した。これまでに江藤俊哉先生、広瀬悦子などに師事している。

「20年ほど前、最近亡くなられた江藤俊哉先生にベートーヴェンの10曲のソナタを習った時、『あなたの音楽と音はベートーヴェンに合っているから、今度全曲演奏会をやりなさい』と言われたんです。それ以来『いつかやりたいな』と思っていました。もちろんこれまでにも、ベートーヴェンのソナタは他の作曲家の作品と組み合わせて弾いてきましたが、10曲のソナタ全曲をまとめて弾くと、ベートーヴェンの足跡、それまでには見えなかった素晴らしさ、新しい響きの発見があるのではないかなと思い、全曲演奏会をスタートすることにしました。10曲すべてが個性的で、はっきりとした特徴を持っています。そこにひかれますね」

 半年に1回ほどのペースで、全4回で完結するこのシリーズ。1回1回の演奏会を楽しんでもらえるように、曲の組み合わせもじっくりと考え、10曲のソナタに2曲の『ロマンス』を付け加えたという。

 今回の共演者は加藤洋之(P)。初共演だという。「ベートーヴェンの作品では、ピアノ、ヴァイオリン共に伴奏の部分であっても歌っていなければなりません。」特にベートーヴェンの音楽では、四分音符一つにもとても重要な意味がありますから、その意味見つけて演奏していかないと単調な音楽になってしまうんです。だから、ピアノもヴァイオリンも暗譜するくらいでないと」

 ベートーヴェン以外にもブラームス、シューマン、モーツァルト、バルトーク、ドビュッシーのソナタ、バッハの無伴奏作品など幅広く手掛けてきたという土田だが、ベートーヴェンのソナタはモーツァルト、ハイドン、ブラームスのソナタなどと共に、アマデウス弦楽四重奏団のノーバート・ブレイニンだ。「ブレイニン先生は3年前の4月10日に亡くなられました。こう言ってはおこがましいですが、ツィクルス第1回目の演奏会は先生に捧げたいと思います」

 土田の満を持しての「ベートヴェン ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会」、注目したい。